2007年09月07日

+BOOK+  ベルイマン自伝

著者:イングマール ベルイマン   翻訳:木原 武一

 ベルイマンってやっぱり波瀾万丈な人なんですね。女性関係が次々と出来てしまうというか、良く言えば「英雄色を好む」悪く言えば「女好き」って感じですごいワ..最も血気盛んな時には愛人と別れた元妻の家族を全部で3家族、一度に養っていたみたいです。しかも、それぞれの愛人に子供と親がついているんだから..。ほとんどお金なんて残らないだろうし、実際、借金だらけみたいな生活。そんな大変な時期でもベルイマンの名はとんとん拍子に世界に知れ渡ってついにスウェーデン国立劇場の総支配人となる。「ある結婚の風景」なんて彼の実体験というか、普通の穏やかな結婚生活をしている人には描けない世界だものね。やっぱり経験しないことは物語にもできないものなのかな。

 それに、全部、自分をさらけ出すというのもすごい。映画にしても自伝にしても、全部、自分を見せてしまう。監督とか演出家というのはそういうものだと佐々木昭一郎の著書にありましたが、私にはできないワ。ネットでプライベートな日記すらまともに長続きしないし。自分の事をあまり書きすぎるとあとで恥ずかしくなって全部消したくなってしまう。

 「サラバンド」で老人の息子が自殺未遂をするシーンがありますが、あれはベルイマンの兄をモデルにしたものではないかと思う。ベルイマンには子供の頃からあまり良い信頼関係にあるとはいえない兄がいて、その自殺未遂で兄は一命をとりとめたが身体が不自由になってしまったようだ。呪われてる感じがしますね。

 「日曜日のピュ」はほとんど実際にあった幼少の頃の出来事らしい。父親を憎みながらも心底では愛していたと思う。その他、初恋や初体験まで赤裸裸に語られる。まるで映画を観ているような想像力を掻き立てられる文章はさすが。

 リブ・ウルマンとは最も深い関係にあったように想像してしまうが、実際、リブ・ウルマンのことはほんのちょっとしか出て来ない。あと、奥さんのこともほとんど出て来ない。しかし、奥さんのイングリット・フォン・ローゼンのことは最も信頼をおいていたようなのですが、数多くの別れた愛人と死別するまで一緒にいた奥さんとの違いはなんだったのだろう..と思うのですよね。

 たくさんの作品を残したベルイマンですが、本人に言わせれば「失敗」した作品が多いようで、こんなに「失敗だった」と後から振り返っているのには意外だった。結局「叫びとささやき」「第七の封印」など、一般的に評価の高い映画が本人も気に入っているようだ。先日みた「この女たちのすべてを語らない為に」などは完全な失敗作だと書いている。

 そんな失敗を繰り返しながら、最後の「サラバンド」の自己評価はどうだったんだろう。でもきっと満足だと思う。ソ連の芸術家に比べれば、ここまで演劇に自由な国で自由奔放に生きていた人もきっとそんなにはいないだろうから。

投稿者 nao : 00:00 | コメント (1) | トラックバック (0) □103.BOOK(映画関連)□

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コメント

ご無沙汰しています。
先日、BSで放映された「サラバンド」をやっと観ることができました。「サラバンド」の完成度はとても高かったですね。私も先にBSでメイキングを見ていましたが、あの水たまりまでセットであったとは驚きです! またリヴ・ウルマンと撮影中もいちゃついているのが意外でした。しかし「女たちの世界」を引き出すためのずる賢い方法かもしれないですね。
「サラバンド」の感想は、章毎にコメントを加えたので長くなってしまいました。。

投稿者 chiro : 2010年06月25日 22:52